「安定」を求めるなら公務員はお勧めしない理由
前置き
「公務員は安定してて絶対に潰れないから」という理由で公務員を目指される方もいらっしゃると思います。かく言う私も正直に言って、食いっぱぐれないからという理由で公務員の道を選びました。
かつてバブル期では、銀行員が安定の象徴でした。誰もが羨む職業で、銀行がまさか潰れないだろうと思われていた時代です。しかしバブルが崩壊してからは、銀行の統廃合が進み銀行員のリストラも活発に行われています。皮肉にも、バブル期にバカにされてきた公務員が、バブル崩壊後の現代では「安定した職」として人気が高まっています。
果たして公務員は安定しているのでしょうか。結論から言うと、安定を求めるのであれば公務員をお勧めしません。その理由を解説していきたいと思います。
※本記事で言う「公務員」とは、公務員試験を合格した正規雇用の公務員を指します。厳密に言うと、アルバイトで採用された方も公務員ですが本記事の「公務員」に含めないこととします。
「安定」の要件
みなさんがイメージしている安定とは、以下の二つだと思います。
・雇用の安定(クビにならない、会社が潰れない)
・収入の安定(景気によって給与が減らされない、年が経つごとに増えていく)
では、公務員はこの二つを満たしているのか、解説していきたいと思います。
雇用の安定について
結論から言うと、雇用の安定は今後崩壊していくことになると思います。理由ですが、人口減少が進む中で現在の人員を維持できないからです。国家公務員法には、免職の規定が以下のように定められています
一号から三号については職務を続けられないことが原因ですが、注目していただきたいのは四号です。定員の改廃や予算の減少によりその職が無くなったり、定員過剰になった場合も免職することができるとしています。
この条文を適用し、実際に免職となったのが旧社会保険庁の職員です。年金で不祥事が続出したので厚生労働省の外局であった社会保険庁を解体し、特殊法人として日本年金機構を作ってそちらに業務を移管しました。その際、社会保険庁の職員は一部厚生労働省に配置転換されましたが、四号の規定を適用され分限免職となった方も多く、10年近く経った今でも分限免職の有効性を争った裁判が続いています。
今後は人口が減少することで経済規模も小さくなることが予想されます。そうなると予算が確保できなくなり、過員となる組織が分限免職のカードを切ってくる可能性が高くなります。
収入の安定について
収入の安定については、現時点でも安定しているかは怪しいところです。確かに毎月決まった日に給与が振り込まれますので安心して職務を遂行できます。しかし給与は法律ないし条例によって定められますので、法律や条例改正によって減額が可能です。
また給与を決める上で重要なのが職務級であり、昇格することで2級から3級などと級が上がり、役職も上がるので諸手当が多くつきます。この級については定員法で何級には何人などと組織ごとに定められています。もちろん、級が上がるにつれて定員が少なくなりますので、定員の空き待ちで10年以上同じ級にとどまっている方もいます。
終わりに
現状であれば、民間企業と比較して安定しているのかもしれません。しかし今後は公務員なら安泰とは言えなくなる時代が来るのではないかと考えます。