こうくんのブログ

元公務員の26歳が書いているブログです。公務員、筋トレ、コーチング関係を中心に記事を作っていきます。

憲法についてわかりやすい説明を試みた

近年、憲法改正という言葉が話題になることが増えてきました。

憲法は社会の授業で習いますが、一度習ったらそれっきりですので

なんとなく分かるけどイマイチ理解できていない人も多いと思います。

 

そこで、法学部出身で元公務員の私が可能な限り簡単に説明をします。

少しでも皆さんの理解の助けになれば幸いです。

 

 

憲法とは

憲法「日本国の最高法規といわれます。

憲法第98条第1項にはこう書かれています。

第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

引用元:(e-Gov法令検索

 

要約すると、

憲法は国の最も強いルールであって、

憲法に書かれていることに反する、

 ・法律や命令(内閣が決める法律のようなもの)

 ・内閣が行う国の事務

 

の全部または一部を無効にします。

 

という意味です。

 

具体例を挙げて説明します。

憲法21条には「・・・(前略)表現の自由は、これを保障する」 とあり、

自由な表現活動を認めています。(いわゆる表現の自由というものです)

 

例えば、政府に批判的な報道をした人を処罰する法律ができたとします。

 

この法律があると、国をよくしようと意見を発表したくても、

処罰されるのが怖くて意見を発表できません。

 

 この法律によって、憲法21条に書かれている表現の自由が守られていませんので

この法律は憲法21条違反として無効になります。

 

 

憲法はなぜあるのか

憲法は、内容や形式が異なるとはいえ、多くの国に存在しています。

憲法はなぜ各国に存在しているのでしょうか。

 

それは、国民の権利や自由を守るため です。

 

かつては欧米では王様が好き勝手な行動をとっていたために

国民は自由がなくて辛い思いをしてきました。

その後革命などを通じて国民に自由や権利が認められるようになるのですが、

別の権力者が国民の権利や自由を奪わないように、権力者が守るべきルールとして憲法が作られました(これを立憲主義と言います)。

 

また、権力が一箇所に集中すると独裁政治になってしまい、

やはり国民の権利や自由が奪われてしまうので

  1. ルールを作る人(立法)
  2. ルールに従って政治をする人(行政)
  3. 1.と2.が憲法違反してないかチェックする人(司法)

この3つをバラバラの人(機関)に担当させて

お互いをチェックし合うことで権力が大きくなることを防ぎます。

(このことを三権分立と言います。)

 

日本国憲法では、第三章 国民の権利及び義務 に国民の権利が書かれ、

第四章の国会、第五章の内閣、第六章の裁判所がそれぞれ立法、行政、司法を担当すると書かれています。

 

まとめ

  • 憲法は国民の権利や自由を守るためにある
  • 権力が暴走しないように立法、行政、司法を分担させている 

 

憲法改正の要件

憲法96条第1項にこう書かれています。

第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。引用元:(e-Gov法令検索

 

要約すると、

衆議院に所属する全議員の3分の2以上の賛成

 参議院に所属する全議員の3分の2以上の賛成 

 

①の要件をクリアすると国民に憲法改正を提案できます。

 

その後、

②国民の過半数の賛成で憲法が改正になります。

 

という意味になります。

 

実はこの要件、非常に厳しいんですね。

例えば法律を改正する手続きは憲法第59条に規定があり、

比較すると以下のとおりです。

 

         憲法     法律

必要な賛成  総議員の2/3以上 出席議員過半数

       +国民の過半数

衆議院の優越   ない      ある

 

 

※総議員と出席議員の違い

総議員:その院に所属する議員全員

出席議員:会議に参加した議員

 

必要な賛成の割合が同じであれば、総議員の方が必要な賛成の数が多くなります。

例)衆議院に議員が100人在籍しており、そのうち80人が決議に参加した。

総議員の過半数  100÷2+1=51人

出席議員の過半数   80÷2+1=41人

 

 

なぜ憲法改正が難しいのか

憲法の目的は国民の権利や自由を守るためにあるとお話しました。

憲法改正は、守られる国民の権利や自由の中身を変えることになるので

慎重に議論ができるように改正の要件が難しくなっています。

 

 

憲法改正について私たちが考えること

拙いながら憲法について説明をしてきました。

憲法改正というとあまり良くないイメージがあるかもしれません。

 

憲法は国民の権利や自由を守る為にあります。

国民の権利や自由は時代と共に変化してきました。

絶対王政の時代は、国家権力に拘束されない自由(自由権)が

第一次世界大戦ごろには国家権力による自由(社会権)が重要視されました。

 

現代では憲法制定時(1945年)よりはるかに豊かにそして便利になり、

権利や自由の考え方も約75年前から変わったかもしれません。

 

大事なのは、私たちが守るべき権利や自由は何かを考えること です。

再三お話しているように、憲法は国民の権利や自由を守る為にあるので、

今の憲法が国民の権利や自由を守れないのであれば改正するべきですし、

今の憲法で国民の権利や自由を守れるのであれば改正しなくても良いとなります。

 

憲法改正について議論することがタブーしされる傾向にありますが、

自分たちが守るべき権利や自由について議論することは重要なことだと思います。

 

 

皆さんにとってこの記事が参考になれば幸いです。